Thought / 大切な食のこと

食べることは
生きることそのもので、愛着がわいてくる

 

四季がある豊かさに気づいたのは日本を離れ
11年という長い海外暮らしで
日本が少し遠い存在になったから。
四季折々の中で育まれる日々の営み、生まれる文化
感性豊かな食と農が新鮮にみえた。
味噌汁の具ひとつからも旬がひしめく美しさ。
海外のフィルターを通したことで伝統料理の素晴らしさも再発見した。

 

家庭料理の偉大さに気づいたのは一時帰国中
毎日のように母の手作りごはんを食べたから。
家族のためだけに献立を考え、食材を揃え、調理を進める。
私たちは一番おいしいタイミングでできたてを食べる。
それが当たり前に繰り返される。
家庭料理とはなんて贅沢で、愛情に溢れているのだろう。

 

オーストラリアの暮らしは多様性の連続。
多民族社会ではお互いを認め、受け入れ共存していた。
多国籍な食文化は個性に溢れ魅力的だった。
スローフードやサステイナブルな暮らしが根付いた土地で
食材の持つフレーバーを求めていたら
自然とオーガニックに辿りついた。

 

 

食べることは、からだのみならず心も育んでくれる。
おいしさから芽生えたその愛着は、次第に生産者、環境、教育、文化へと
食はいろんな世界をのぞく扉になった。

家族ができたいま、それはわたしごとではよりなくなり
こどもたちの未来にも想いをはせる。
料理の楽しさを分かち合い、おいしいを未来に紡いでいけたら
生き良いやさしい世界が広がるのでは、そう願っています。

3本の食の柱のおはなし → click


プロフィール


yukashi

西山 由紀子
料理家

旬の素材を生かしたシンプルでヘルシーな料理を得意とする。身土不二の考えをもとにその土地の時季の食材を取り入れたレシピを主とし、家庭料理のあり方、食育や暮らしにも関心が高い。2児の母。

 

– William Anglis Institute of TAFE:
Certificate in Chinese and Southeast Asian Cookery
(ウィリアムアングリス専門学校 中国/東南アジア調理科卒)

– The University of Melbourne:
Bachelor of Primary Education
(メルボルン大学 教育学部卒)
(オーストラリア・ヴィクトリア州 小学校教員免許 取得)

– 正食協会 マクロビオティッククッキングスクール
師範科コース 終了
(正食協会認定師範)


略歴

2008 –
食に向き合ったとき、日本人の食性にあった玄米菜食に魅かれていき
雑穀料理に出会ったことが食の活動をするきっかけとなる
オーストラリア・メルボルンにてyukashiの屋号でお菓子・お料理の活動スタート
会社員の傍ら、お菓子の製作と販売、週末カフェ、料理教室をはじめる

2010 –
帰国後、新規オープンのナチュラル系パティセリ‐カフェにてマクロビスイーツ、
野菜ランチのレシピ開発、キッチンを担当後、通訳の仕事と平行し
アトリエオープンの準備、DIYで改装スタート

2012-
姫路の城下町、八代本町にある古い木造民家を改装後、4月に
yukashi 料理教室・カフェスペースオープン
月に1度の生産者と作りての場、船場川サンデーマケットをスタート、教室業の他
食と暮らしをシェアする大人の寺子屋として講師を招いてワークショップを定期開催

2014 –
第一子出産、乳幼児期からの食育として離乳食講座を新設

2015 –
第2子出産を控え、子どもと向き合う暮らしを真ん中におくためアトリエを閉める

2016 –
第2子出産、核家族のなかでの家庭料理のありかたやおいしさに益々関心が深まる

2017 –
料理教室、食や暮らし、子育てにまつわるワークショップを出張ベースで再開
イベント出店、ケータリングを再開

2019 –
企業向けレシピの開発、播磨の醸造ブランド化プロジェクト「醸す造る播磨」メニュー開発など

2021 -現在
姫路駅西エリアの船場地区にアトリエを移転オープン
こども料理のコースを新設

母になり7年。子どもたちは7歳と5歳になりました。
目まぐるしく成長するいま、愛情あふれる時間を過ごしたいと多くの母親とおなじ気持ちで
切磋琢磨の日々です。
そのなかで、持続可能な社会の実現に向けて貢献したいと思うようになりました。
経験と学びを深め、自身からあふれる言葉で食を伝えていければと思っています。

Apr. 2021
西山由紀子